1. 通達20-3(無道路地の評価)の構造
財産評価基本通達20-3は、無道路地を「道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む)」と定義し、評価額の計算式を次のとおり定めている。
− 通路開設費用相当額(不整形地評価額の100分の40を上限)
※ 通路開設費用相当額 = 実際に利用している路線の路線価 × 接道義務を満たす最小限の通路面積(幅員2m × 想定通路の奥行)。各種画地調整は適用しない。
2. タックスアンサーNo.4620の核心文言
3. 「通行する権利」の射程の実質判断
タックスアンサーNo.4620の文言は「権利」の種類を明示的に限定していないため、解釈の幅がある。しかし、制度趣旨に立ち返って次のように整理するのが整合的と考えられる。
したがって、「通行する権利」とは形式的に通行できる権利一般ではなく、実質的には「その権利によって接道義務が満たされ、建物の再建築が可能となる程度の権原」を指すと解するのが、制度趣旨と整合的と考えられる。
4. 権利種類別の整理
| 権利の種類 | 無道路地評価を排除する「権利」への該当性 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 建物所有目的の借地権・地上権 | 該当し得る(典型) | 借地借家法第1条、第2条第1号。借地借家法上の保護のある強い権原で接道義務充足の蓋然性が高い |
| 通行地役権(登記あり) | 該当し得る | 民法第280条以下。第三者対抗力があり、第43条第2項第2号許可の前提となりやすい |
| 囲繞地通行権のみ | 該当しない | 民法第210条。最判平成11年7月13日が、囲繞地通行権と建築基準法上の接道義務は趣旨・目的を異にし、接道要件を満たす内容の囲繞地通行権が当然には認められないと判示 |
| 通行目的のみの賃借権(建物所有目的でない、登記なし) | 原則として該当しない可能性が高い | 借地借家法非適用(同法第1条、第2条第1号)。登記なしでは民法第605条の対抗力なし |
5. 重要な留意点
タックスアンサーの文言が広く読めるため、税務署側から「公正証書による長期の賃貸借契約がある以上、無道路地ではない」との見解が示されるリスクは現実的に存在する。これに備え、(1)通路が建築基準法上の道路でないことの建築指導課による確認書面、(2)現況写真・幅員測量図、(3)第43条第2項第2号許可の見込みについて特定行政庁での事前相談の記録、(4)賃料水準の合理性を裏付ける資料、を準備しておくことが、無道路地評価を採用する場合の立証上重要となる。